演題 汎用ワークステーションによる分子軌道表示プログラム
発表者
(所属)
○松久 茂、柏原 洋、宇野 健、林 治尚、山名 一成、中野 英彦
(姫路工大・工)
連絡先 〒671-22 姫路市書写2167 姫路工業大学工学部応用化学科
TEL 0792-66-1661
キーワード 分子軌道、エネルギー準位図、汎用ワークステーション
開発意図
適用分野
期待効果
特徴など
分子軌道法を理解する上で分子軌道の表示図は役立つ。そこで各大学で 普及している汎用型ワークステーションを用いて、分子軌道の形状を立体 的に表示しその立体に陰影をつけて三次元的に表示出来ることを目的とした。
環境 適応機種名 X-Windowを備えているワークステーション
OS 名 UNIX(日本語Solaris、Hp-ux)
ソース言語 C言語
周辺機器
流通形態
右のいずれ
かに○をつけ
てください)
  • 化学ソフトウェア学会の
    無償利用ソフトとする
  • 独自に配布する
  • ソフトハウス、出版社等から市販
  • ソフトの頒布は行わない
  • その他
  • ○未定
具体的方法

1. はじめに

 量子化学的手法は現代の化学における化学現象を理解する上で必要不可欠であり、分子 軌道法はそのうち最も有効な手法の一つである。しかし分子軌道法は理解しにくく、馴染 みにくいものである。その理由に分子軌道法は、多くの数式を用いる事があげられる。最 近ではコンピュータで煩わしい計算を行い必要なデータを得ることが可能となってきてい るが、計算結果が数値データとして出力されるため分子軌道に慣れていない者は理解しに くい。
 そこで我々の研究室では、半経験的な分子軌道法のパッケージソフトとしてよく知られ ているMOPACのデータを利用し、分子軌道を視覚化するプログラムの開発を行った。 今回報告するプログラムはワイヤーフレームを用いて分子軌道を立体的に表示するのでは なく、分子軌道の形状に陰影をつけることによって立体的な分子軌道図を表示する。このよ うなプログラムは高度なグラフィックシステムを有するワークステーションソフトとしては すでに開発されているが、汎用型ワークステーションではあまり知られていない。 そこで汎用型ワークステーションを用いて分子軌道図が表示できるプログラムの研究を行った のでここに報告する。


図1 スチレンのエネルギー準位図


図2 スチレンのHOMOでの分子軌道図  

2. プログラムの機能

 今回報告するプログラムは、MOPACで計算された出力結果を可視化するものであり、図1の ようなエネルギー準位図や、図2のような分子軌道図などを表示する事ができる。
 図1は、スチレンのエネルギー準位図の表示画面で、σ軌道、π軌道、σ* 軌道、π*軌道が色分けして表示されている。
 図2は、スチレンのHOMOの分子軌道図を表示したものである。分子軌道を立体的に表現する ために陰影をつけ、三角法によってXY平面をZ軸方向から見た正面図、XZ平面をY軸方向から見 た上面図、YZ平面をX軸方向からみた側面図が表示してある。そして、分子軌道関数値が正の値 の部分と、負の値の部分を異なった色で表示されている。
 分子構造と軌道の関係を示すために、原子の中心を黒点で、原子間を点線で結んだ分子の 骨格図が重ねて表示してある。