演題MOLDA for Windows - ウィンドウズ環境での分子モデリングと Virtual Reality Modeling Language(VRML)を用いた分子グラフィックス
発表者
(所属)
○ 吉田 弘、松浦博厚(広島大理)
連絡先〒739 東広島市鏡山1-3-1 広島大学理学部化学科 Tel 0824-24-7111
キーワード分子モデリング、分子グラフィックス、Windows95、VRML
開発意図
適用分野
期待効果
特徴など
Windows95上で分子モデリングを可能とするシステムで、GAUSSIAN94, AMBER4.0およびMM2の入出力データの処理が可能。また、作成された分子構造を VRML形式のデータに変換することにより、WWWのブラウザを用いてインターネット上 での分子グラフィックスが可能となる。
環境 適応機種名DOS/V機
OS 名Windows95/NT
ソース言語Visual Basic 4.0
周辺機器
流通形態
  • 化学ソフトウェア学会の
    無償利用ソフトとする
  • その他
具体的方法
http://cssj.chem.sci.hiroshima-u.ac.jp/molda/molda.htmの URLからフリーにダウンロードできるようにする

  1. はじめに

    World Wide Web (WWW)上で3次元グラフィックスを行うための新しいテクノロジーである Virtual Reality Modeling Language (VRML)が、1995年以降、急速に発展してきた。 最近では、もっとも普及しているWWWブラウザである、Netscape NavigatorにもVRML Viewer が標準的に添付されるようになり、VRMLを用いた3Dグラフィックスが急速に普及してきている。 そこで本研究では、VRMLを分子グラフィックスの分野に応用することを目的として、 1984年に開発した、分子構造データ作成プログラムMOLDA4[1,2] をWindows95/NTに移植すると同時に、 作成された分子構造データをVRML形式のファイルに変換し、Netscape Navigator等のWWWブラウザを 用いて分子グラフィックスを可能とする機能を追加したMOLDA for Windowsを開発したので報告する。

  2. プログラムの概要

    2.1 分子構造データ作成機能

    分子構造データの作成機能は、MOLDA4と大きな違いはないが、マウスを用いることにより操作性が向上した。 分子構造データの作成方法としては、分子同士の接続(縮環機能を含む)、置換基接続、対称操作 による対称構造の生成などがある。また、読み書き可能な三次元座標データの形式は、 XMol形式[3]またはMODRAST/MOLDA形式[4]である。

    2.2 分子科学計算プログラムとのインターフェイス機能

    MOLDA for Windowsは、非経験的分子軌道計算プログラムGAUSSIAN94、分子力場計算プログラム MM2の入力データを作成すると同時に、出力結果をMOLDAのデータとして取り込むことができる。 また、分子動力学計算プログラムAMBER4の計算結果を読み込み、シミュレーション結果の動画表示も可能である。

    2.3 VRMLによる分子グラフィックス機能

    MOLDA for Windowsで作成された分子の三次元座標値はVRMLの形式に変換することが可能である。 表示可能な分子模型図には、Stick模型(図1)、球棒模型(図2)、空間充填型模型(図3)がある。 また、これらの分子模型図では、マウスを用いることにより視点を移動させることが可能である。 さらに、作成されたVRMLファイルに命令を追加すれば、アニメーション等を実行することができる。

    図1 18-Crown-6のStick模型図 (ここをクリックするとVRMLで表示される)

    図2 18-Crown-6の球棒模型図 (ここをクリックするとVRMLで表示される)

    図3 18-Crown-6の空間充填型模型図 (ここをクリックするとVRMLで表示される)

  3. おわりに

    MOLDA for Windowsでは、使用可能なOSがMicrosoft Windowsに限られているが、このプログラムの VRML形式への変換機能の部分については、Java言語にも移植しており下記URLより提供している。 さらに、プログラムの全ソースリストも下記URLより公開している。

    http://cssj.chem.sci.hiroshima-u.ac.jp/molda/molda.htm

  4. 文献

    [1]K.Ogawa,H.Yoshida,H.Suzuki,J.Mol.Graphics,2(4),113(1984).
    [2]小川,吉田,鈴木,「パソコンによる分子のモデリングと分子力場計算入門」, サイエンスハウス(1986).
    [3] Minnesota Supercomputer Center, Inc., XMol (Version 1.5) User Guide
    [4]「実践パソコン・分子科学計算」,サイエンスハウス(1992).