(Received: April 7, 2000; Accepted for publication: June 20, 2000; Published on Web: November 20, 2000)
原子軌道関数は, r, q, jを極座標とするとき, 原子核からの距離rのみに依存する動径部分Rn,l(r)と,角部分Yl,m(q, j)の積で表される.角度q, jのみに依存する角部分は, 球面調和関数としてYl,m(q, j)= Ql,m(q)Fm(j).の式で表わすことができる.角部分には, 波動関数の対称性に関する情報が全て含まれるため, 重要である.われわれは, AVS (Application Visualization System)というソフトウェアの等値曲面表示技術を用いて,原子軌道の角部分の数式を可視化する新しい方法を研究した. 本方法では, Yl,m(q, j)・rはデカルト座標の[(x, y, z)系]に変換可能であることに注目し, Yl,m(q, j) /r(x, y, z)の値を, 40×40×40の格子点に対して求めて, その等値曲面を描くことで,角部分表示を実現する.本研究では, Y0,0(q, j), Y1,0(q, j), Y1,±1(q, j), Y2,0(q, j), Y2,±1(q, j), Y2,±2(q, j)について,3次元の角部分の数式を可視化し, これまでと同等の表示が得られることを確認した.また, 本方法は4次元を超える原子軌道の角部分の可視化にも適用でき, 拡張性が高いことを確認した.
キーワード: Atomic Orbital, Angular Part, Four-Dimensional Atomic Orbital, Isosurface, AVS