紫外可視スペクトル学習用プログラムの開発

本間　善夫

１．はじめに

２．開発環境と対応機器

３．プログラムの概要と使用方法

図１　スペクトル波長と観測色の文献による違い．プログラムは最上段の文献[5]に従ってスペクトル図を着色する．各色と補色名は以下の関係にあるとした；紫−緑黄（黄緑），青−黄，緑青−橙，青緑−赤，緑−赤紫（紫赤）．

3.2　プログラムの使用方法
　『パック』には複数のプログラムが入っており，各々のサンプルデータを異なったサブディレクトリに収納しているので，実行システム作成用のプログラムを登載し，その使用方法と各プログラムの使用方法は同梱のドキュメント（DATAP**.DOC）に記載してある．
　作成した実行用『パック』をオートスタートさせ，メインメニューで「紫外・可視スペクトル学習プログラム」を選択すると起動する．オープニング画面で，プリンタ出力モードをカラー，モノクロ（各色をタイリングで区別し，凡例を示すのでモノクロコピーが可能），曲線のみ，の３つから選び，データを保存・読込みするドライブ，サブディレクトリ名を入力するとメニューが表示され，以下の機能を利用できる．

(1)新規データの作成
　最初にコメント，データの種類（＝縦軸名．横軸は“波長　λ／nm”に固定）を入力する．続いてデータの組数（最大10組）を入力し，各組毎にデータ点数（5〜100）入力とデータ入力（波長と縦軸数値を［,］で区切って順次）を行なう．その後，ファイル名を入力すればデータファイルを作成してグラフを描く．データはテキストファイルなので，登載データの書式を参考にすればエディタでも作成できる．作図時は１本目の曲線のみ着色し，２本目以降は曲線のみ表示する．作図波長範囲も１本目から決定するので，２本目以降は１本目と同じかそれより狭い範囲にする必要がある．
　なお，データ組数が１の場合，データ種類としてＡ（吸光度），Ｔ（透過率），Ｒ（反射率），Ｉ（強度）を入力すると極大波長 λmax または極小波長 λmin から試料の色を推定（Ｉは λmax から，Ａは λmax の補色から，Ｔ・Ｒは λmin の補色から）して作図時に色名を表示する．
　縦軸の最小値は常に 0 にして作図するのでそれ以外の目盛りにしたい場合や負の数値がある場合は，『パック』中の「２次元グラフ」を使用するとよい（スペクトル色のカラー表示は不可であるが，シンプソン積分法が可能である）．一方縦軸の最大値は 0.2 から 800 の間で設定するので，生データに適当な数値（例えば 1000 や 0.001 など）を掛けた形で入力する必要がある．そのため軸名にべき表示が必要な場合がある．また単位表示でも“上付き”表示を要する場合が多い．そこで例えば ATF$="Ｅ×10^-3 ／　kJ mol^-1" のように“ ^ ”の後に半角の“+-0123456790.()/”が記されている場合は続けて上付き表示するようにした（上記の例では“-3”と“-1”が該当）．

(2)データファイルの読み込み
　ファイル一覧から選んでファイル名を入力すると作成データおよび既登載データを読み込んでグラフを描く．必要な記事を書き込んでプリントアウト[11]できる．なお，教材向きのスペクトル図をいくつか登載（図２に例）しているので簡易データベースとしても使用できる．

図２　スペクトル図の出力例．記事はカーソルを移動して書き込む．

(3)吸光度←→透過率のデータ変換
　データ種類にＡ（吸光度），Ｔ（透過率）を指定したものについてデータ読み込み後に相互データ変換を行なうので，透過スペクトルと吸収スペクトルの関係が理解できる．図３に例を示した。

図３　吸収スペクトル（上）と透過スペクトル（下）の変換例[15]．吸収スペクトルの λmax と透過スペクトルの λmin の関係などが比較できる．色の凡例は省略．

　　　……(1)

　ここで，c　は光速度，h　は Planck 定数，k　は Boltzmann 定数，Ｔ　は黒体の絶対温度であ る．なお単位面積を単位時間に通過するエネルギー量は上式に c / 4 を乗ずれば求められる．

６．参考文献