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「森和英先生追悼号」を特集するにあたって

高千穂大学・WCSC 鈴木 一成

(2010年01月04日 JCCJ, Vol.9, No.1, A1-2.)

森和英先生は2009 年1 月4 日,急性心不全で急逝されました.享年54 歳でした.

森和英先生は、静岡市のご出身で,早稲田大学理工学部化学科伊藤礼吉研究室で研鑽を終えられた後,四つの大学の非常勤講師を約20 年近く務め,またいくつかの企業から研究を受託し,それらによって生活の糧を得ていました.

約20 年前に主として早稲田大学理工学部化学科伊藤礼吉および井口馨研究室出身の有志で創設された研究団体「早稲田計算科学コンソーシアム(Waseda Computational Science Consortium,以下WCSC と略す.)」で事実上の研究責任者としてWCSC に貢献されました.

研究業績[1-37] は多岐に渡り,分極率の計算[14],数式処理言語Reduce を用いた行列要素の計算[16],完全変分型分子軌道法(Full Variational Molecular Orbital)の定式化およびその応用計算[18, 21‐23, 26],ミオシンのATP 加水分解に関する分子軌道法を用いた研究[27, 28],Random Phase Approximation(RPA) による励起状態の計算[31, 35, 37],分極率とフロンガスの沸点との間に簡単な関係があることを見出した研究[36] などがあります.

最晩年に取り組んだ酸化チタン光触媒の計算は未完成ですが,共同研究者が後を継ぎ,本号に掲載されています.

これらの研究成果の重要性は,従来ごく一部の研究者の間でしか認識されていません.そこで,本号において森和英先生と共同研究をされた方々に森和英先生の研究業績がいかにすばらしいものであるかを論述していただきました.本号の発刊により,森和英先生の研究業績が広く認知されることと思います.

最後になりますが,「森和英先生追悼号」の発刊をご許可されたことに対して,J. Comput. Chem. Jpn. 誌編集室に感謝いたします.

<※事務局注:参考文献は本文をご覧ください>

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