論文誌のJ-STAGE投稿・審査システム移行
兵庫県立大学 中野 英彦
(2007年6月15日 会告Vol.6, No.2)
本年の1月より、本論文誌の投稿および審査が、JST(独立行政法人 科学技術振興機構)の運用するJ-STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム)の「投稿・審査システム」に全面的に移行した。本誌が、前進の化学ソフトウェア学会および日本化学プログラム交換機構の合併により発足した2002年当初より、(株)ベストシステムのご好意により使用させていただいている独自のサーバー上で全論文をオンライン公開するのと並行して、J-STAGEの「電子ジャーナル公開システム」においても書誌情報、引用文献情報および本文のPDFファイルを公開しており、今回「投稿・審査システム」の利用を開始することにより、論文誌発行に関するJ-STAGEの機能をほぼ全面的に利用することとなる。
本号に掲載されている論文のほとんどは、まだ旧システムで投稿されたものであり、投稿・審査システムによる論文は1報のみであるが、次号よりほぼ全面的に新システム利用のものとなる。現時点で、移行完了以来5ヶ月を経過したが、その間特に大きなトラブルもなく経過するとともに、審査過程の迅速化が実現され、さらに海外からの投稿が見られるなど、新システムの効果が現れ始めているようで、ひとまず順調なすべり出しである。
このように、J-STAGEを利用することにより本誌のオンラインによる論文の配布に加えて、投稿の受付および審査についても、国際的な流通に対応する体制が整ったわけであるが、今後真に国際的な影響力を持った論文誌として発展するためには、より一層内容の充実を図らなければならないことは言うまでもないであろう。そのためには、学会員の方々の優れた研究成果を積極的に本誌に投稿していただくことを期待したい。因みに、本誌は比較的早くからオンライン公開を行なっており、また独自サーバー上ではHTML形式の全文データを公開していることもあって、Googleによる検索でのヒット順位の高さにも特徴があることを強調しておきたい。
また、現在J-STAGEの利用に関しては、費用は全てJSTが負担しており、学会からの財政的支出はないが、それがいつまでも継続されるという保証はない。近年の財政政策の流れからみて、ある時突然「受益者負担」の名のもとに利用学会へ応分の負担を求めるということにならないとも限らないであろう。そのような事態になっても耐えられるように、本学会の財政的基盤の強化にも留意しておく必要があると思われる。