Japanese | English

2023年度表彰

2024年6月7日 表彰

2023年度

日本コンピュータ化学会  表  彰
SCCJ Award of the Year 2023

[ 学会賞 |  功労賞(特別功労賞)  | 吉田賞(論文賞) ]

日本コンピュータ化学会 2023年度 学会賞
【受賞者】

村岡 梓 氏  日本女子大学 理学部 数物情報科学科 教授

【受賞理由】

 2024年2月9日に開催された日本コンピュータ化学会役員会で、本年度の日本コンピュータ化学会学会賞を、日本女子大学 理学部 数物情報科学科 教授の村岡 梓氏に授与することが満場一致で決まりました。ここに同氏の経歴と推薦理由を記します。
 村岡 梓氏は、2006年東京大学にて、永田 敬教授(現:総合研究大学院大学 学長)の元で博士(学術)を取得しました。取得後、フランス ヴェルサイユ・サン・カンタン・アン・イヴリーヌ大学にて博士研究員としてKamel Boukheddaden教授の元、スピンクロスオーバー錯体相転移のモデル構築に従事しました。その後、明治大学 理工学部 物理学科 助教、東京大学大学院 工学研究科 化学システム工学専攻 山下晃一教授(現:東京大学名誉教授 横浜市立大学特任教授)の元で特任研究員を経て、2015年日本女子大学 理学部 数物科学科(現 数物情報科学科)の講師として着任。その後、2018年に同大学同学科准教授、2024年より教授を務めておられます。この間、JST CREST相界面科学主たる研究者を務めました。
 村岡氏は、分子科学、計算科学をバックグラウンドに、π共役キラル分子、分子磁性、光変換エネルギー材料(有機薄膜、ペロブスカイト型、二次電池、光触媒)の分子物性の理論研究に取り組み、物質の電子状態、動的挙動の解明、素過程の組立てを明らかにしてきました。国内外の実験、理論グループと共同研究体制を組んでおりその成果を発表しています。中でも代表的な業績として、有機薄膜太陽電池のドナー・アクセプター界面における電荷分離過程を理論計算があげられます。量子化学計算より、ホットプロセスが外部量子効率を決定する重要なステップであること、電荷移動型励起子ダイナミクスの制御、すなわち短絡電流密度と電子-正孔再結合に関する新たな知見を得ています。この成果は、公益財団法人 高橋産業経済研究財団、一般財団法人 熱・電気エネルギー技術財団 第28回熱・電気エネルギー技術分野で研究助成および受賞を受けています。また、NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境分野における革新的技術の国際共同研究開発に参画し、イタリアとの協同研究に大きく貢献しています。また、「富岳」成果創出加速プログラムにも連携研究として貢献しています。
 村岡氏は日本女子大学附属豊明幼稚園から大学院まで一貫教育を受けており、ロールモデルとして母校で理系女子の育成、研究・教育にも力をいれています。その成果は、本学会年会において大学院生、学部生を筆頭著者とした3件のポスター発表が優秀ポスター賞の受賞につながっていると言えます。
 以上のような村岡梓氏のコンピュータ化学に対する貢献に鑑み、「日本コンピュータ化学会」は村岡梓氏を2023年度の学会賞の受賞者とすることに決定致しました。

(文責:会長 河村雄行)

日本コンピュータ化学会 2023年度 功労賞
【受賞者】

川内 進 氏  株式会社Quemix プリンシパル エキスパート

【受賞理由】

 2024年2月9日に開催された日本コンピュータ化学会役員会で、2023年度の日本コンピュータ化学会功労賞を株式会社Quemix プリンシパル エキスパート 川内 進氏に授与することが満場一致で決まりました。
 川内 進氏は、量子化学計算から古典的分子動力学を駆使した計算機化学分野の多岐にわたる研究を行ってきました。研究対象は、ケイ素化合物、不均一触媒、高分子化学の反応機構の解明から色素の吸収スペクトル予測、液晶分子の相転移や熱伝導率予測、導電性高分子の導電性予測まで幅広い内容です。特に、2022年には、1947年に提案され長年使われてきたラジカル共重合論の古典的理論であるQ-eスキームを改良することに成功し、2023年に本学会で報告しています。
 また、量子化学計算のスタンダードソフトであるGaussianプログラムの解説書「電子構造論による化学の探究(第3版)」の訳者であり、東京工業大学GSICで開催されてきたGaussian社によるGaussian Workshopを長年主催し、量子化学計算の普及に尽力してきました。

 [本会への功績]本功労賞は、川内 進氏が本会に長年果たして来られた多大な功績に対するものであります。
 川内 進氏は、日本コンピュータ化学会に初期の頃より参加し、研究成果を積極的に発表し、学会理事として会の運営に携わって来られました。川内 進氏の本学会への貢献として特筆すべきは、毎年東京工業大学大学大岡山キャンパスで開催される日本コンピュータ化学会春季年会のホストとしての貢献です。氏のホストとしてのきめ細やかな心配りにより、日本コンピュータ化学会春季年会は毎年盛大に行われ、日本コンピュータ化学会の地位向上に大きな貢献をしています。
 日本コンピュータ化学会は、ここに川内 進氏を本会の功労賞の受賞者とすることに決定致しました。

(文責:会長 河村雄行)

日本コンピュータ化学会 2023年度 吉田賞(論文賞)
【受賞論文】

Implementation of Wang-Landau Algorithm for Probing Thermodynamic Stable Configuration of Multi-Element Materials and Application to Multinary Alloy Nanoparticles
多元素材料の熱力学的安定配置探索のための Wang-Landau アルゴリズムの実装と多元合金ナノ粒子への応用

難波 優輔, 古山 通久

Journal of Computer Chemistry, Japan - International Edition, Vol. 21(2022), No. 1, pp.1-9

【受賞理由】

 材料の構成元素の数が増えると、その熱力学的安定性に対する配置エントロピーの影響が大きくなるが、扱わなければならない配置の数が膨大であるため、従来の手法ではその評価は困難であった。
 本論文では、多元素材料に対して、膨大な配置から安定な配置を導出する手法を実装した。実装された手法では、密度汎関数理論計算と機械学習からエネルギーの回帰式が作成され、Wang-Landauアルゴリズムによるサンプリングに利用される。これによって、膨大な配置を扱い、配置エントロピーが考慮された熱力学的安定な配置を評価することができる。例として、合金のバルクモデルおよびナノ粒子モデルに適用し、その安定配置の特徴について議論している。実装された手法では、エネルギーの回帰式が得られれば安定な配置を明らかにすることができるので、様々な多元素材料への応用が期待される。
 以上のような試みを通じたコンピュータ化学への貢献に対し「日本コンピュータ化学会」は、吉田賞論文として表彰することを決定した。

(文責:会長 河村雄行)

Event

賛助会員

賛助会員 | バナー広告
募集中です.