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2020年度表彰

2021年6月5日 表彰

2020年度

日本コンピュータ化学会  表  彰
SCCJ Award of the Year 2020

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日本コンピュータ化学会 2020年度 学会賞
【受賞者】

古山 通久 氏  信州大学 先鋭材料研究所 教授

【受賞理由】

 古山通久氏は、2002年東京大学にて博士(工学)を取得しました。東北大学大学院工学研究科助手を経て、2008年九州大学稲盛フロンティア研究センターの教授に着任しました。2016年に物質・材料研究機構エネルギー・環境材料研究拠点ユニット長、同年広島大学大学院工学研究院(現:先進理工学系研究科)客員教授を経て、2018年より信州大学環境・エネルギー材料科学研究所(現:先鋭材料研究所)にて教授を務めておられます。並行して、2019年には、環境・エネルギー分野における社会実装加速のため株式会社X-Scientiaを創業され、2020年には、蓄電デバイスの刷新を目指す株式会社マテリアルイノベーションつくばにて研究戦略企画部長に着任、2021年からは京都大学オープンイノベーション機構にて特定教授も務められています。
 古山通久氏の研究はコンピュータ化学の枠にとどまらず多岐にわたりますが、特に環境・エネルギー分野において、様々な計算化学手法やツールを開発し、マルチスケールやマルチフィジックスの問題に実践応用されています。中でも、固体酸化物形燃料電池の燃料極を対象としたマルチスケール連成解析に関しては、電気化学分野で初めてとなる第一原理計算を踏まえた定量的な特性予測を実現し、さらには、原子分解能電子顕微鏡で撮像された実験的構造観測を取り込んだ界面反応ダイナミクスを実現しています。それらの成果は科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞などとして高く評価されています。さらに、大型計算機による並列化第一原理計算技術をナノ粒子へと展開し、遷移金属ナノ粒子の分野で世界最大規模の並列計算を実現しています。それらの研究は、単なるベンチマーク計算にとどまらず、原子分解能電子顕微鏡で観察される実在系の構造を取り込み、実験的に議論することが不可能なナノ粒子の熱力学的安定性の予測や、低分子の吸着特性の予測につなげており、未踏の地平を開拓し続けています。
 以上のような古山通久氏のコンピュータ化学に対する貢献に対し「日本コンピュータ化学会」は、ここに古山通久氏を本会の学会賞の受賞者とすることに決定致しました。

(文責:会長 細矢治夫)

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