|
Na2O-GeO2系ガラスの分子動力学シミュレーション | ||
|
○岡本祐輔,坂井俊彦,関澤恒男(長岡工業高等専門学校物質工学科) | ||
|
〒940-8532 長岡市西片貝888番地 長岡工業高等専門学校
TEL:0258-34-9373 FAX:0258-34-9700 E-mail: |
||
|
分子動力学,ゲルマン酸塩ガラス,ゲルマン酸塩異常,MXDORTO | ||
適 用 分 野 期 待 効 果 特 徴 な ど |
ゲルマン酸塩ガラスの構造とゲルマン酸塩異常との関わりを研究するための一つの手段として、汎用の分子動力学シミュレーションソフトウェアMXDORTOを用いて行った分子シミュレーションの結果である。 | ||
|
対応機種名 | 特に機種は問わない | |
O S 名 | UNIX, MS-DOS | ||
ソース言語 | FORTRAN, Quick-BASIC | ||
周 辺 機 器 | 特になし | ||
|
|
|
|
MXDORTOはJCPEに公開され、無償で利用することが可能である。 |
緒 言 ゲルマニアを主成分とするガラスは赤外線透過ガラスや光ファイバーなどの特殊な用途に利用されてきており、近年では次世代のコンピュータとして期待される光コンピュータの素子材料としての可能性も検討されている。また、ゲルマニアを主成分とするアルカリゲルマン酸塩ガラスはゲルマン酸塩異常と呼ばれる物性値と組成との間の特異な組成依存性の現れるガラスとして知られており、このゲルマン酸塩異常の原因はアルカリ酸化物含有量の変化に伴って、ガラスを構成する構造単位である酸素配位数4のGeイオンを中心とした4面体構造と酸素配位数6のGeイオンを中心とした8面体構造の存在割合が変化するためであると考えられている。 本実験では、アルカリゲルマン酸塩ガラスの組成変化に伴う構造変化および物性値の特異な組成依存性が分子動力学法を用いたコンピュータシミュレーションによって再現されるのかを調べる目的で実験を行った。
実 験 分子動力学計算システムにはMXDORTO(東京工業大学 河村雄行開発)を用いた。原子間相互ポテンシャルにはBorn-Mayer-Hugginsモデル、およびこれに共有結合性を考慮したMorse項を加えた2つのポテンシャルモデルをそれぞれ用い、Na2O-GeO2系ガラスについて計算を行った。
結 果 図1は分子動力学法によるコンピュータシミュレーションの手順を表したものである。図2はBorn-Mayer-Hugginsモデルを用い、本シミュレーションによって得られたNa2O・3GeO2ガラスについてのO-Ge-O結合角度分布である。109度および90度付近のピークはそれぞれ、Geを中心として酸素を4配位した4面体および酸素を6配位した8面体構造の存在を示しており、分子動力学シミュレーションによってもガラス内に4面体構造単位と8面体構造単位の両方が生成される事を示している。図3はゲルマン酸塩異常の例として良く知られている、組成に対する密度のプロットである。実測値(○)とシミュレーションの結果(●)との間に開きはあるが、いずれもNa2O、18mol%付近に極大が現れており、組成変化に伴う密度の変化の傾向は一致している。これらの結果は、分子動力学シミュレーションによって、この組成系のガラスの構造や物性が再現される可能性を示した結果である。