演題 | MOLDA for Java - Java言語とVRMLによるプラットフォームに依存しない分子モデリング・分子グラフィックスプログラムの開発 | |
発表者 (所属) | ○ 吉田 弘、松浦博厚(広島大理) | |
連絡先 | 〒739-8526 東広島市鏡山1-3-1 広島大学理学部化学科 Tel 0824-24-7111 | |
キーワード | 分子モデリング,分子グラフィックス,Java,VRML | |
開発意図 適用分野 期待効果 特徴など |
プラットフォームに依存しないで分子モデリングを可能とするシステムで,MOPACおよびGAUSSIAN94の入出力データの処理が可能。また,作成された分子構造をVRML形式のデータに変換することにより,WWWのブラウザを用いたインターネット上での分子グラフィックスが可能となる。 | |
環境 | 適応機種名 | 機種に依存しない |
OS 名 | OSに依存しない | |
ソース言語 | Java | |
周辺機器 | ||
流通形態 |
|
具体的方法 http://cssj.chem.sci.hiroshima-u.ac.jp/molda/の URLからフリーにダウンロードできるようにする |
1995年にJava言語が登場して以来,プログラミングパラダイムが大きく変貌しつつある。Java言語はオブジェクト指向プログラミング言語でありソフトウェアのコンポーネント化が容易であると同時に,Java Virtual Machineを用いることによりプラットフォームに依存しないで動作するプログラムを作成することが可能である。また,三次元グラフィックスについてもプラットフォームに依存しないVirtual Reality Modeling Language (VRML)が,1995年以降,急速に発展してきている。 そこで本研究では,Windows, MacOS, UNIXなどのプラットフォームに依存しない分子モデリング・分子グラフィックスプログラムを開発することを目的として,先に報告した分子構造データ作成プログラムMOLDA for Windows [1]の機能の一部をJava言語に移植したMOLDA for Javaを開発した。
MOLDA for Javaで取り扱い可能なデータ形式は,MODRAST/MOLDA形式 [2],XMol形式 [3],Protein Data Bank (PDB)形式である。分子構造データの作成機能としては,アルカンの自動作成や置換基の接続,原子や結合の消去,原子種の変換や内部回転などがあり,マウスを用いた操作が可能である。その他,分子の座標値,結合長,結合角ならびに二面体角なども容易に知ることができる。図1ならびに図2にMOLDA for Javaによるヘキサンの作成と内部回転の様子を示す。
図1 MOLDAによるヘキサンの生成 | 図2 ヘキサンの内部回転 |
MOLDA for Javaは,半経験的分子軌道計算プログラムMOPACと非経験的分子軌道計算プログラムGAUSSIAN94の入力データを作成すると同時に,出力結果をMOLDAのデータとして取り込むことができる。
図3 18-Crown-6の球棒模型図 |
MOLDA for Javaで作成された分子の三次元座標値はVRML1.0ならびにVRML2.0の形式に変換することが可能である。 表示可能な分子模型図には,Stick模型,球棒模型,空間充填型模型がある。 また,これらの分子模型図では,マウスを用いることにより視点を移動させることが可能である。 さらに,作成されたVRMLファイルに命令を追加すれば,アニメーション等を実行することができる。IRIX6.2上のWebSpaceで描画した18-Crown-6の球棒模型図を図3に示す。
MOLDA for Javaにより,OSの種類に依存しない分子モデリング・分子グラフィックスの実現が可能となった。このことは単に,既存のOS上での動作が可能であるのみならず,Java Virtual Machineが搭載された将来のプラットフォーム上での動作も保証されるものである。