演題 火星の化学的風化反応のシミュレーション
発表者
(所属)
○伊藤 和男、勝元 慎吾
(大阪府立高専)
連絡先 〒572 大阪府寝屋川市幸町26-12 大阪府立高専 工業化学科
TEL:0720-20-8567 FAX:0720-21-0134
E-mail:
キーワード 火星、風化、シミュレーション、UBASIC
開発意図
適用分野
期待効果
特徴など
興味を持ってプログラミングができる。
使用言語がUBASICなので、初心者にもプログラミングできる。
コンピュータシミュレーションを手軽に体験できる。
環境 適応機種名 DOSーV パソコン
OS 名 MS−DOS
ソース言語 UBASIC
周辺機器
流通形態
右のいずれ
かに○をつけ
てください)
  • 化学ソフトウェア学会の
    無償利用ソフトとする
  • 独自に配布する
  • ソフトハウス、出版社等から市販
  • ○ソフトの頒布は行わない
  • その他
  • 未定
具体的方法

[目 的]

 はるか遠い惑星の火星でおこる化学反応をシミュレーションするというのは、学習者にかなりの興味、関心を起こさせることができるだろう。火星は赤い土におおわれているが、この土は長期間(数万年以上)の化学的風化反応により生成したと考えられている。その反応は非常に多くの化学反応が相互に関与して進行する複雑な反応である。そのシミュレーションプログラムもかなり複雑になるが[1]、ここでは、学生にもできるようにモデルを単純化した。またプログラムしやすいように、使用言語をUBASICとした。この言語は数値計算に適した言語であり、フリーソフトで流通している。
 今回学生の卒業研究のテーマとして用いたが、学生にも無理なくプログラムを作ることができた。

[モデル]

 Helgesonの風化モデルを用いて、シミュレーションを行った。岩石が、接触する水と二酸化炭素の作用でゆっくり溶解すると、その溶液が何らかの土壌鉱物に飽和する。そしていろいろな土壌鉱物が沈殿して、土壌が生成される。岩石の溶解は非平衡反応であり、この風化反応は不可逆反応である。
 ここでは単純化して、火星の岩石はNa長石とした。また起こりうる化学反応を約14反応として、モデルを作った。このシミュレーションでは、14元の連立方程式を繰り返し解いて、反応を推定している。

[結果]

 図1にシミュレーション結果を示した。この図の縦軸は各溶存成分の濃度および生成土壌鉱物の量を対数目盛で示した。横軸は、反応進行度で、岩石の溶解率になり、また反応時間に相当する。風化反応の進行により、溶存成分が変化していく。そして、ある時土壌鉱物である、カオリナイトが生成してくる。さらに風化反応が進むと、こんどは、Naーモンモリロナイトが生成する。
 このように、カオリナイトとNaーモンモリロナイトという土壌鉱物が生成する様子をシミュレーションできた。
 教材として使う場合は、火星の岩石の種類をいろいろに変えるとよい。


図1 シミュレーション結果

[1]伊藤、日本地球化学会96年会講演予稿集(1996)、札幌