演題 糖質C13-NMRデ−タベースの作成
発表者
(所属)
吉野 輝雄
(国際基督教大学・理)
連絡先 〒181 三鷹市大沢 3−10−2 国際基督教大学理学科化学教室
TEL: 0422-33-3281 e-mail:
キーワード 13C-NMR, 1H-NMR, Database, Carbohydrates, FileMaker pro
開発意図
適用分野
期待効果
特徴など
糖質13C-NMRデータをファイルメーカーpro(クラリス社)を用いて作成した。 既報の1H-NMRデータベースとの姉妹版で、データの保存管理・検索・ソート 機能の他、NMRデータと化学構造式との組合わせ表示、統計処理が可能。 また、13C-と1H-NMRデータの組合せ表示ができる。
環境 適応機種名 Macintoshコンピュータ(CPU86020以降の上位機種)   
OS 名 Kanji Talk 7.5   
ソース言語 FileMaker proの定義コマンドを利用   
周辺機器   
流通形態
右のいずれ
かに○をつけ
てください)
  • ◎化学ソフトウェア学会の
    無償利用ソフトとする
  • 独自に配布する
  • ソフトハウス、出版社等から市販
  • ソフトの頒布は行わない
  • その他
  • 未定
具体的方法

1.はじめに

 糖質研究活動を支援する実用的な糖質1H-NMRパーソナルデータベース("H1-NMR GlycoData")をカード型データベースソフト・ファイルメーカーpro Ver 2.1(クラリス社)を用いて作成し発表した[1]。今回、その姉妹版ともいえる 糖質13C-NMRデータベースを作成し、1H-NMRデータと組み合わせ利用する機能を加えたのでここに報告する。      

2.機能と特徴

 基本的な機能と特徴は、糖質1H-NMR版[1]と同様である。要約すると、
1. 糖質13C-NMRデータ(化学シフト値)を測定条件、文献とともにデータベースとして保存管理する。
2. NMRデータを糖質構造式と組み合わせ視覚的に表示する。
3. ファイルメーカーpro(以下、FMと略す)のすぐれた操作性、検索・ソート機能、フィールドの追加、表示レイアウトの変更・追加等を最大限に活用する。
4. 検索されたデータ(化学シフト値)について、平均値、最大最小値、標準偏差値等の統計処理計算を自動的に行い、その結果を一覧表示する。
5. 1H-と13C-NMRデータの合体表示
 上記1-4は、糖質1H-NMRデータベースとほぼ共通の特徴であるが、5は本データベースの特徴的な機能である。すなわち、1H-と13C-NMR版の両方に同一サンプルのデータが収納されている場合に、FMに備わっている「ルックアップ機能」[2]を利用することにより両データを合体表示する機能である。
合体したデータ(「H1+C13」ファイル)は次ぎの3種のレイアウトで表示することができる。
 1. 完全カード方式による合体表示
 2. 表一覧方式による比較表示
 3. 構造式方式による比較表示
完全カード方式による合体表示の例を下図に示す。



図1 1H-および13C-NMRデータの合体表示

 これにより、糖質研究者が構造未知の糖質のNMRスペクトルを解析する実際の場面に近い環境が用意されたことになる。

参考文献

1. 吉野 輝雄, 糖質研究者用・糖質 1H-NMRデ−タベース, J. Chem. Software, 1995, 2, 196-205.
2. File Maker Proマニュアル、クラリス社