演題 ネットワーク新時代に対応した新しい講義システムの試み−文系大学における自然科学予備教育への応用−
発表者
(所属)
伊澤 俊二、鈴木 久雄、山田 智彦、尾崎 成子、矢野 敬幸
(一橋大学)
連絡先 186 東京都国立市中2−1 一橋大学
Tel 0425−72−1101 Fax 0425−71−1893
キーワード WWW 理科教育 オンライン教育
開発意図
適用分野
期待効果
特徴など
ネットワークの普及に対応した新しい講義システムの開発。通常の自然科学 講義等に対する補助的な内容をもつ予備教育等に適す。いつでも好きなとき に学習できる。
環境 適応機種名 ネットワーク対応機種ならどれでもよい   
OS 名   
ソース言語   
周辺機器 情報コンセント他   
流通形態
右のいずれ
かに○をつけ
てください)
  • 化学ソフトウェア学会の
    無償利用ソフトとする
  • 独自に配布する
  • ソフトハウス、出版社等から市販
  • ソフトの頒布は行わない
  • その他
  • ○未定
具体的方法

はじめに

 本システムは大学内に構築されているLAN、さらにはインターネット環境を利用したオンラインの新しい教育システムの可能性を模索することを目的としている。従来の教育システムでは定められた時間に定められた教室で教師が学生に講義をする形態であるのに対して、このシステムでは学生は自由な時間に適当な端末からアクセスする。質疑応答や終了認定もすべてLANを通じてなされる。すべての科目についても適しているとはいえないが、大学での自然科学受講に役立つよう著者らの大学で実施している予備的な理科教育(われわれはこの授業を「サイエンスミニマム」と名付けている)には最適なものと思われる。
 本システムではインターネットに用いられるTCP/IPプロトコルを用いることによって、構築しやすいオープンなシステムを目指している。TCP/IPネットワークの技術はインターネットの広まりによって日々進歩がなされており、新しい技術を取り入れてシステムを拡張することが容易である。また、TCP/IPはオープンなプロトコルであるため、コンピュータアーキテクチャにとらわれず、Windows、Mac、UNIXなどさまざまなシステムで利用できる特長がある。
 本システムは基本的に大学LANの内部のみの閉じた環境での使用を前提としているが、 運用の仕方によりインターネットを介して遠隔地からシステムを利用することも可能である。

システムの概要

 今回の実験では、各種サーバ用のコンピュータとして一般的なPCを使用している。このため、比較的安価にシステムを構築できる。
 サーバOSはWWWのみを提供する場合Windowsなどでも可能だが、本システムでは 同一のマシンで様々なサービスを行うため、既存のソフトウェアの多いUNIX系OSを使用している。PC用UNIX系OSには市販されているものの他、フリーソフトウェアとして無償で配布されているLinux,FreeBSD,NetBSDなどがある。これらは機能的にも優れており、インターネット上でもサーバOSとして実績があるため導入もしやすい。なお、本マシンではFreeBSDを使用している。
 今回はシステム構築の初期段階であるため、TCP/IPアプリケーションのうち基本的な ものを用いるようにしている。まず、システムはWWWによるオンライン・テキストを中心に据えている。WWWのハイパーリンクによって関連する文章を相互に参照したり、世界中にあるさまざまな情報を見ることができるようになる。また、WWWサーバのもつユーザ認証の仕組みを利用し、利用者のアクセスログをとることによって受講者の参照頻度や進行状況の確認ができるようになっている。理解度の確認にはCGIを用いた多肢選択型の簡単なテストを設け、受講者はいつでも自分の学習成果を確認できるようにしている。さらには、講義・テキストに関する質疑応答の場としてWWW上に電子掲示板システムを設け、受講者・教師間のコミュニケーションを図っている。

 ソフトウェアとしては、以下のようなソフトを用いている。
  ・WWWサーバ Apache httpd
  ・電子掲示板 HyperNews

おわりに

 本発表では実験段階という事で、内容的には化学分野に限ったが、他分野の方々の協力を得て物理、生物等を含めた実際的なシステムへと発展させる予定である。その際、各分野間の関連事項を結びつける上で、ハイパーリンク機能が多いに役立つと考えられる。
 今回のデモでは、システム構築に重点を置いたため、教育的内容の吟味にまで手が回らずテキスト主体になってしまった。しかし実際に利用する段階では、教科書との併用を考えており、本システムでは出来るだけ図や表あるいはグラフ等のコンピュータならではの内容を表示する計画である。
 そのためにも将来的な構想としては、Javaを用いたインタラクティブな教材の提供や、より高度なアクセス状況の把握、オンラインミーティングシステムの利用などを考えている。