演題 分子動力学計算結果のアニメーション表示
発表者
(所属)
中 田 吉 郎
(群馬大学工学部)
連絡先 〒371 前橋市荒牧町4ー2
群馬大学工学部(荒牧)生物物理学教室
キーワード 分子モデリング、 分子動力学法、 分子グラフィックス
開発意図
適用分野
期待効果
特徴など
分子動力学計算の結果をパソコンでアニメーション表示させるプログラム。OS (Windows) のみで動作する。
環境 適応機種名 DOS/V, PC98   
OS 名 MS−Windows   
ソース言語 Visial Basic   
周辺機器 なし   
流通形態
右のいずれ
かに○をつけ
てください)
  • ○化学ソフトウェア学会の
    無償利用ソフトとする
  • 独自に配布する
  • ソフトハウス、出版社等から市販
  • ソフトの頒布は行わない
  • その他
  • 未定
具体的方法
  

1. はじめに

 近年コンピュータの性能が飛躍的に向上してきたことにより、分子動力学(MD) 計算1)のような非常に計算量の多い方法も気軽に行えるようになってきた。またそ のプログラム2)もわりと手軽に手に入れることが可能になってきた。
 MD計算を行った場合、その計算がうまくいっているかチェックしたり結果を説 明するためにも、シミュレーションの様子を可視化することが必要不可欠である。 ところが計算パッケージに組み込まれたMDプログラムを使う場合はこの様な機能は 必ず含まれているが、研究者が自分に特有な系の計算を行うためにプログラムを自 作したり、ソースコードを手に入れて修正したりした場合は、可視化プログラムも 手に入れるか自作しなければならない。
 そこで本研究では、MD計算の結果のアニメーション表示プログラムを研究者が現 在持っているコンピュータで使える物という条件で作成を試みた。

2. プログラムの概要

 現在研究者の手元にあるコンピュータとしてはワークステーションかパソコンであるが、 パソコンの場合はそのOS自身にグラフィックス機能を持っている。そこでOSとしてW indowsを考え、そのうえで実行できるプログラムを開発することにした。この様な プログラムを開発するためのツールは数多くあるが、今回は一番手軽に使える Visual Basic を用いた。
 (1) 入力データ
 このプログラムの場合、分子の初期構造のデータファイルとシミュレーションの各ステッ プにおける各原子の座標値のデータファイルの2つのファイルを必要とする。
 初期構造データファイル: MD計算プログラムの場合、各々のプログラムでその形式が
   異なるので、最小の情報として各原子の元素名(番号)とXYZ座標値と結合情報    を含むデータとする。
 MD結果データファイル: 各ステップにおける座標値のみを記録したファイル。長時間
   のシミュレーション結果になるとファイルが膨大なものとなるので、1ステップ
   前の座標値との差だけを記録したものを用いる。
 (2) グラフィックス表示
 MD計算結果の表示の場合、表示スピードが要求されるのでスティックモデルを用いるこ ととした。また原子種の区別のため色を利用した。また溶媒と溶質を区別するため、スティッ クの太さを変え、溶質分子の表示を太くしてその動きを見やすくした。

3.プログラムの 実行結果

 今回作成したプログラムを実行したときの表示画面の様子を図1に示す。アニメーショ ンの速度はコンピュータの性能に左右されるが、現在市販されている高性能のパソコンで あれば十分利用価値のあるプログラムであると思われる。                   

  図1.  表示画面

4. 参考文献

1)片岡洋右、分子シミュレーション入門、海文堂、1989.
 河村雄行、パソコン分子シミュレーション、海文堂、1990.
 片岡洋右、分子動力学法とモンテカルロ法、講談社サイエンティフィク、1994.
2)吉村忠与志, 計算化学システムの最新情報, 化学とソフトウエア, 17, 3, p137, 1995.