演 題 |
リチウムイオン2次電池の材料設計
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発表者 (所属) |
○松本高利・長嶋雲兵・田辺和俊
(物質工学工業技術研究所,産業技術融合領域研究所)
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連絡先 |
〒305-8565 つくば市東1-1 物質工学工業技術研究所
TEL 0298-61-4432 FAX 0298-61-4432
E-mail ,, |
キーワード |
Lithium ion battery, Material Design, Molecular orbital calculation
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開発意図 適用分野 期待効果 特徴など |
様々な大規模炭素クラスター構造について,分子軌道計算によって電子状態を求め,リチウムイオン2次電池の負極材料である炭素材料の最適化を行った.リチウムイオン2次電池の一層の高性能化に向けての必要条件を検討する.
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環 境 |
適応機種名 |
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O S 名 |
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ソース言語 |
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周辺機器 |
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流通形態 |
- 化学ソフトウェア学会の無償利用ソフトとする
- 独自に配布する
- ソフトハウス,出版社等から市販
- ソフトの頒布は行わない
- その他:未定
| 具体的方法
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1.緒言
リチウムイオン2次電池は,移動体通信機器等に広く用いられ,小型軽量化と電池容量増加等の性能向上が強く求められている.リチウムイオン2次電池の更なる高性能化を図るためには,詳細なリチウムの吸蔵放出機構等の解明が必要不可欠である.しかし,炭素材料は不定形のために,実験的手段による解明は極めて困難である.そこで我々は分子軌道法による計算化学的アプローチにより,リチウムイオン2次電池の負極材の炭素材料へのリチウムの吸蔵・放出の機構や構造の解明に取り組むことにした.
2.計算方法
計算プログラムはQ-Chem Ver.1.2 [1]を, 計算機はIBM RS/6000を用いた.基底関数については,できるだけ大きな炭素材料モデル分子が計算できるようにRHF/3-21Gを用いた.
我々の計算モデルではC‐C距離 1.415 angstrom 層間距離 3.354 angstrom 全ての結合角 120°に固定し,炭素骨格末端の水素原子は全て取り除いた.また,炭素骨格シートの末端水素キャップを取り除いても偶スピンで閉殻構造であるので,RHFで計算を行うことが可能である.リチウムを加えた系の計算では閉殻構造になるように総電荷数の調節を行った.
3.結果と考察
LiのSOMO及びLi+のLUMOそれぞれの軌道エネルギー:-0.146~-0.196a.u.を考え,リチウムイオン電池で用いられている炭素材料について充放電を行う際のエネルギー損失が最小になる炭素クラスターを探し出すことにした.探索の結果,最も最小ユニットになりえるのが,Pyreneである.次にPentaceneである.しかし,これらは複合使用という致命的な欠点を持っている.1つのユニットで先の軌道エネルギーの範囲内に軌道エネルギー値を持つユニットを見つけるべく,更に探索領域を広げた結果,Li及びLi+の特性に対して最もエネルギー損失の少ない最小基本ユニット(tetrabenzo[bc,ef,kl,no]coronene : TBC)を炭素数126個(TBC6)において見い出すことができた.また,同時に,最適な炭素クラスターを形成するためには,(1)基本ユニットがpyreneであり,(2)最も基本となるユニットが4つ組み合わせなければならない(重なり合っても可),(3)ベイ構造とエッジ構造の共存という点と構造上の特性も見い出された.
またC3Liの実存の可能性について,Ovaleneをモデル分子として,2個のLiを置いて詳細に調べた[2].その結果,イオン状態でかつ同一面内については,C6Liは存在するが,C3Liは存在しない.一方,中性状態でかつ同一平面においては,C6Li及びC3Liも存在可能である.この計算結果の詳細については,当日発表を行う予定である.
Fig.1 The relationship between number of carbon atoms and orbital energy of HOMO and LUMO
Fig.2 The relationship between HOMO-LUMO energy and width of TBC units
A carbon cluster with bay and edge units.
The minimum optimum structure of arbon cluster : TBC6
4.参考文献
- C. A. White, J. Kong, D. R. Maurice, T. R. Adams, J. Baker, M. Challacombe, E. Schwegler, J. P. Dombroski, C. Ochsenfeld, M. Oumi, T. R. Furlani, J. Florian, R. D. Adamson, N. Nair, A. M. Lee, N. Ishikawa, R. L. Graham, A. Warshel, B. G. Johnson, P. M. W. Gill and M. Head-Gordon, Q-Chem, Inc., Pittsburgh, PA (1998).
- H. Ago, K. Nagata, K. Yoshizawa, L. Tanaka, T. Yamabe,Bull. Chem. Soc. Jpn., 1997, 70, 1717.
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