演 題 |
ベンゾジキサンテン類縁体の立体構造と電子スペクトル
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発表者 (所属) |
○渡部智博(埼玉大工),古後義也(埼玉大工),蛭田公広(埼玉大工),柳田光広(日本曹達),太刀川達也(埼玉大工),時田澄男(埼玉大工)
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連絡先 |
〒338-8570埼玉県浦和市下大久保255 埼玉大学工学部応用化学科
TEL:048-858-3511 FAX:048-857-9653
E-mail: |
キーワード |
ベンゾジキサンテン, アントラジクロメン, 電子スペクトル, HOMO, LUMO
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開発意図 適用分野 期待効果 特徴など |
フォトクロミック化合物であるベンゾジキサンテン類縁体について半経験的な分子軌道計算を行い,一連の化合物の構造と電子スペクトルとの関係について考察した.
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環 境 |
適応機種名 |
INDIGO, octane2 (Silicon Graphics)
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O S 名 |
UNIX
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ソース言語 |
FORTRAN
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周辺機器 |
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流通形態 |
- 化学ソフトウェア学会の無償利用ソフトとする
- 独自に配布する
- ソフトハウス,出版社等から市販
- ソフトの頒布は行わない
- その他:未定
| 具体的方法
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1.緒言
ベンゾ[1,2,3-kl:4,5,6-k'l']ジキサンテン(1, BDXと略す)とアントラ[1,9-bc:4,10-b'c']ジクロメン(6, ADCと略す)は着色型であり,これらのエンドペルオキシド体の無色型との間で可逆応答性を示すフォトクロミック化合物であることが知られている1, 2).これまで,BDXやADC類縁体のX線結晶構造解析3)や可視紫外吸収スペクトル4)に関する研究が行われた.本研究では,構造と電子スペクトルとの関係を明らかにした.目的とした化合物は,1〜10である.
2.方法
BDXやADCの分子全体が非平面構造であることを考慮し, MOPACのAM1法によって最適化構造を求めた.次に,INDO/S法によって,吸収波長を求めた.
3.結果と考察
化合物
1〜
5,
6〜
10の吸収極大波長の測定値と計算値とは,互いに良い相関関係があった.吸収極大波長は,いずれも主にHOMOからLUMOへの遷移にもとづく吸収帯である. HOMOとLUMOの軌道エネルギーを図1, 2に示す.BDX(
1)やADC(
6)に比べて,硫黄類縁体
2,
3,
6,
7は,HOMO,LUMOの軌道エネルギーが一律に下がっているため,波長シフトがほとんど見られなかった.窒素類縁体
4,
5,
6,7のHOMOとLUMOの軌道エネルギーは上昇しているが, HOMOが大きく上昇している.このため,HOMOとLUMOの軌道エネルギーの差が縮まり,長波長側にシフトしたと考えられる.
4.参考文献
1) R. Shimidt, W. Drews, and H.-D. Brauer, J. Photochem., 18, 365 (1982).
2) 時田澄男, 「季刊 化学総説"有機ホトクロミック化合物の化学"」学会出版センター, 28, 135 (1996).
3) T. Watanabe, T. Tachikawa, N. Kitahara, and S. Tokita, Mol. Cryst. and Liq. Cryst., 298, 1 (1997).
4) S. Tokita, T. Watanabe, Y. Fujita, H. Iijima, and S. Terazono, Mol. Cryst. and Liq. Cryst.,, 297, 269 (1997).
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