分子の構造活性相関解析のためのニューラルネットワークシミュレータ:Neco (NEural network simulator for structure-activityCOrrelation of molecules) の開発(7)
― ペリラルチン類の疎水性パラメータ logP の予測 ―

高橋 梨紗a, 細矢 治夫b, 福田 朋子c, 長嶋 雲兵c*

aお茶の水女子大学人間文化研究科, 〒112-8610文京区大塚2-1-1
bお茶の水女子大学理学部情報科学科, 〒112-8610文京区大塚2-1-1
c産業技術総合研究所先端情報計算センター, 〒305-8561つくば市東 1-1-1
*e-mail:

(Received: January 10, 2001; Accepted for publication: October 10, 2001; Published on Web: December 7, 2001)

  学習方法として中間層において自己組織化を行い、全体に教師付学習の両方を行う、自己組織化とパーセプトロンを融合した二ューラルネットワークシミュレータの開発をプラットフォーム非依存性を持つ Java 言語を用いて行った。本シミュレータは、自己組織化と教師付学習の双方の特徴を併せもつため、従来のニューラルネットワークよりも高精度な認識処理を実現し、かつ高速学習が可能となる。
  このシミュレータを用いて、分子構造によって甘味や苦味の性質を示す22種類のペリラルチン類の疎水性パラメータ logP の予測を行った。入力パラメータは分子構造STERIMOLパラメータ5種のパラメータと甘味/苦味の分類値を用いた。出力層のノード数を1つにすることで、 logP の値を連続した数値データとして予測できるようにした。絶対誤差が平均して0.02までの学習を500回程度で行うことができ、また未学習データに対しては平均して0.3程度の絶対誤差、最大でも0.8程度の絶対誤差で予測が可能であった。単純パーセプトロンの予測精度は、平均して0.6程度の絶対誤差であり、また最大の絶対誤差は1.3程度と大きく、本手法がより精度の高い予測を行っていることがわかった。
  本手法は学習回数が単純パーセプトロンに比較して1/5 - 1/10程度少なく、高速学習が可能であった。

キーワード: Self-organized network, Neural network, Structure-Activity Correlation, Perillartine derivatives, Hydrophobic parameter


Abstract in English

Text in Japanese

PDF file(155kB)


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