(Received: December 10, 1999; Accepted for publication: January 7, 2000; Published on Web: April 10, 2000)
分散メモリ型並列計算機上での大規模分子軌道計算で、計算時間短縮に大きな効果をもたらす積分カットオフの問題に注目し、積分カットオフの閾値が計算結果に与える影響や、大規模分子における積分カットオフの割合について調べた。大規模分子では、2つの添字だけで行なうカットオフによって生き残る基底数の割合が10%以下となりほぼ一定値になること、これにより、積分数は事実上基底数Nの二乗に減少することが判明した。よって、ホストと各プロセッサの間で行列転送を行なう際には積分カットオフに対応した転送行列のカットオフを行なう事が通信量やメモリ量の軽減に必須であることが分かった。
キーワード: Distributed Memory Parallel Computer, Ab Initio Molecular Orbital Calculation, Fock Matrix Generation, Integral Cutoff