埼玉大学工学部応用化学科,浦和市下大久保 255
(Received : November 12, 1993 ; Accepted for publication : March 3, 1994)
著者らは,先にホトクロミズムを示す縮合多環芳香族化合物であるベン[1,2,3-kl : 4,5,6-k'l' ]ジキサンテン (1a) の硫黄類似体 (1b) および,そのエンドペルオキシド体 (2b) を合成し,ホトクロミック特性を測定して報告を行った.その中で,(2b) は (1a) の消色型化合物 (2a)と比較して,着色体を再生する相対反応速度が著しく小さいことが分った.この実験事実を,計算化学の手法を用いて得られた, (1a) のキサンテン環同士のなす二面角,(1b) のチオキサンテン環同士のなす二面角の差をもとに 説明を試みた.
Keyword : Photochromism, Benzodixanthene, Geometry optimization, MOPAC